
About Årc
Årc yakushima は、
Commons Economy の実践拠点です。
私たちが実践する Commons Economy という考えについて、より詳しく伝えさせてください。
What is commons
コモンズとは
コモンズという言葉は、もともと中世ヨーロッパの「共有地」を指していました。放牧地、森、水辺。個人のものでも、国家のものでもなく、村の人々が共同で使い、共同で守っていた土地です。
大切なのは、それが単なる「誰のものでもない土地」ではなかったこと。人々には使う権利があり、同時に「使いすぎない」ためのルールがありました。つまりコモンズとは、資源そのものというより、それをめぐる人々の関係と、手入れの実践のことだったのです。
やがてこの共有地は、柵で囲われ、私有財産へと変えられていきます。「囲い込み(Enclosure)」と呼ばれるこの動きが、近代の市場経済の出発点になりました。みんなで支えていた豊かさが、売り買いされる商品に変わっていく──それが、いまも続くひとつの大きな流れです。
けれど、コモンズは過去のものではありません。世界には、市場にも国家にも頼らず、何百年ものあいだ共有資源を守り続けてきた共同体が、現に無数にあります。日本にも「入会(いりあい)」という深い伝統があります。当事者が自ら手入れをし、共に治めるかぎり、コモンズは今も確かに成り立つ──それは理想ではなく、実証された仕組みなのです。
Årc は、その古くて新しい知恵を、屋久島というこの場所で、現代のかたちに耕しなおす試みです。ここでの自然も、アートも、日常の営みも、誰かが消費して終わるものではなく、関わる人々が共に手入れをし、次の人へ手渡していく──そんなコモンズであろうとしています。
コモンズという理念があっても、それだけでは続きません。建物は傷み、エネルギーを使い、人は生活していかねばならない。現代社会において、理念だけでは、コモンズは維持できないのです。
そこで「エコノミー(経済)」に乗せる。ただし、市場原理をそのまま持ち込むことではありません。効率性や収益性に重きが置かれると、暮らしや土地の豊かさは、いつのまにか削られ、囲い込まれていく。経済を、コモンズを壊す力ではなく、コモンズを養う力として設計しなおす必要がある。それがコモンズエコノミーです。
そこでは、お金を払う人は「消費者」ではなく「循環の参加者」になります。あなたが Årc で支払うお金も、部屋やサービスを消費するための対価ではありません。それは、Årc というコモンズを維持し、アーティストを支え、この地域での実践を続けていくための循環に加わることです。滞在すること自体が、コモンズを次へ手渡していく行為になっていくのです。


そして、関わり方はお金だけではありません。誰かと食事や車をシェアすること。庭や畑を少し手伝うこと。知識や経験を分かち合うこと。次の人のために、共有の空間を整えておくこと。屋久島にはもともと、野菜や魚を贈り合う「ギフト経済」の文化があります。貨幣の循環と、贈り合いという貨幣を介さない循環。その両方を回していくのが、この経済のかたちです。
Årc が進めるCommons Economyプロジェクト群は、バラバラの社会貢献ではありません。すべて「市場に囲い込まれつつあるものを、当事者による統治のもとに、もう一度ひらき直す」という一つの原理の、領域ちがいの実践です。Årc は、コモンズエコノミーという新しい経済のOSを、屋久島という実社会からインストールしてみる学びと実践の場なのです。
What is commons economy
コモンズを循環させる経済
Co-Owner & Co-op
協働組合経営は、コモンズを
育てるための合理的な選択です。
コモンズは、当事者が自ら手入れをし、共に治めるかぎりにおいて成り立ちます。裏を返せば、誰がそれを所有し、どう経営するのかを選び違えると、どんなに美しい理念も、いつのまにか市場の論理に呑まれ、囲い込まれていってしまう。だから、コモンズにとって「経営のかたち」は、細部ではなく、根幹です。
ふつうの会社のかたちを思い浮かべてみます。そこでは、お金を出す人(株主)、使う人(お客さん)、経営する人が分かれています。株主は、その場所を訪れたこともないかもしれない。彼らにとって、その場所は、利益を生むための投資資産です。このかたちのままコモンズを営めば、力は自ずと「いかに多くのお金に変えるか」へ働きます。コモンズを痩せさせ、囲い込みへと逆戻りさせていく構造です。
Årc は、別のかたちを選んでいます。出資する人・利用する人・経営に関わる人が重なっている。それが Co-Owner です。Co-Owner は、Årc に出資し(所有)、ここを1.5拠点として通い住まい(利用)、経営にも参加する(経営)。この三つが一人のなかで重なるとき、「いかに多くのお金に変えるか」という動機よりも、「この場所を、長く美しく育てたい」という動機が強まります。これが、協働組合(Co-op)の考え方です。
Årc では、Co-opの考え方をさらに一歩進めています。一般的に、民主的な意思決定として、Co-opではひとり一票の投票権による多数決が行われます。しかし、Årcでは多数決を行いません。「私がそれをやるよ」という、個のオーナーシップによって行います。ここにも私たちの大切にしたい考えがあります。

Årc に滞在するあなたは、「お客さま」ではなく、コモンズエコノミーの「循環の参加者」です。あなたが残したお金は、消費されて消えるのではなく、この場所と地域を支える循環へと加わっていきます。
だとすれば、その循環が、実際にどこへ向かったのかを、あなたは知りうるべきだと、わたしたちは考えています。参加した人が、その結果を見られないのでは、本当の意味での参加とは言えないからです。ひらいて見せることは、Årc をコモンズとするうえでの責任であり、参加してくれたあなたへの、敬意でもあります。
だから Årc は、事業の収支と、その循環が生み出した結果を、定期的に開示していきます。
Transparency
循環の透明性




