自ら然しく、表現する。
非日常でなく、
日常を過ごしてほしい。
わたしたちは、屋久島を非日常として体験して帰ってもらうのではなく、わたしたちの日常を共有し、都市での暮らしと異なる「日常」として過ごしてほしいと思っています。
それは、島を訪れるひとに、自然体の自分を都市の日常に持ち帰ってほしいからです。
わたしたちの接し方も、「お客さま」という感じではなく、ただ「あなたというひと」として関わっていきたいと思っています。
ホスピタリティのあるサービスは提供できませんが、対話やつながりが生まれる場をつくっていきたいと思っています。
ここは宿でなく、コモンズ。
ここは宿のように、観光者のひとも泊まってもらえる場所です。ですが、わたしたちが行なっていこうとしているのは、「宿泊業」ではなく、「コモンズをつくる」という営みです。
コモンズには「共有の財産」という意味があります。わたしたちはこの場所を特定の誰かだけが所有・独占するのではなく、誰もに開かれ、誰もが「自分の場所」と思いながらも、他の存在と共有される場所にすること。「境界線をなくしていく」ことを意図し、この場所を育てていこうとしています。
美しい自然の中にあるとき、わたしたちは何にも囚われのない、自然体の自分になる。
何かの役割を負っていたり、急いでいたり、自分を大きく見せたり、小さくしたり。都市のモードを少し置いて、ただありのままになる。その自分に湧きあがってくるものを、ただそのまま表現する。
それは一人ひとりが生み出すアートになる。都市に生きるひとが、自然体の表現者となっていく。そう生きていくひとのための場をつくりたい。そんな想いから、この場所がつくられはじめました。
Årcもまた、わたしたちのアートなのです。
Facility
物理的な場づくり
土地と建築
建築は、個として過ごせる環境と、他者との集いが自然に生まれることを意図して設計しています。
設計者は、建築家の藤木俊大氏。つながりや社会に開かれたものとして建築をとらえていく藤木さんの思想は、Årcのフィロソフィーとも重なっています。
建築家
Peak Studio 一級建築事務所
藤木 俊大